はじめに
「本を読むのが好きで文学部に進みたいけれど、日本文学科と英文学科、どっちが面白そう?」 「単に『日本語で書かれた本』か『英語で書かれた本』かの違いだけ?」
文学部を志す受験生にとって、**「日本文学(日文)」と「英文学(英文、英米文)」**の選択は定番の悩みです。どちらもテキストを読み解く点では同じですが、研究のプロセスや求められる言語能力、そしてアプローチには異なる面白さがあります。
本記事では、この2つの学科での学びの特徴、研究手法の違い、そしてそれぞれの魅力を徹底解説します。
1. 日本文学科で学ぶことと研究手法
日本文学科では、古代の『万葉集』や『源氏物語』から、明治・大正期の夏目漱石や芥川龍之介、そして現代の村上春樹や最新のライトノベルまで、幅広い時代の日本語文学を研究対象とします。
日本文学ならではの研究手法
- くずし字や漢文の解読(古典・中世): 室町時代以前の作品を研究する場合、現代の活字ではなく、当時の写本や木版本(くずし字)を直接読み解くスキルが必要です。まるで暗号を解読するような知的興奮があります。
- 日本語表現と言語学(日本語学): 文学作品だけでなく、「日本語という言葉そのもの」の歴史や方言、若者言葉の変遷などを研究する分野も含まれます。
- 文化的・社会的コンテクストの検証: 作中に描かれた当時の風習や制度、言葉の裏にあるニュアンスを深く掘り下げます。母国語だからこそ、わずかな言葉遣いの違いや繊細な表現意図を深く読み取れるのが強みです。
2. 英文学科で学ぶことと研究手法
英文学科(多くの大学では英米文学科)では、イギリスやアメリカをはじめ、カナダ、オーストラリア、あるいはアフリカやアジアで「英語によって書かれた」世界中の文学・文化を研究します。
英文学ならではの研究手法
- 外国語としての高度なクリティカル・リーディング: 言葉の表面的な翻訳にとどまらず、聖書の比喩、ギリシャ神話のモチーフ、歴史的背景(植民地主義や近代化など)をふまえてテキストを精読します。
- 英語学と言語理論: 英語の発音(音声学)、文法(統語論)、意味論などを科学的に分析します。また、第二言語としての英語習得方法(英語教育学)を学ぶこともできます。
- グローバルな多文化研究(カルチュラル・スタディーズ): 文学作品だけでなく、映画、演劇、ポップカルチャーなどを通じて、ジェンダー、人権、ポストコロニアルなどの現代的テーマを分析するアプローチが盛んです。
3. 日本文学 vs 英文学 比較表
両学科の学びの違いを整理しました。
| 比較項目 | 日本文学科 | 英文学科 |
|---|---|---|
| 主な対象言語 | 日本語(古文・漢文を含む) | 英語(古英語から現代英語まで) |
| 主な研究対象 | 日本国内の作品、日本語の歴史・構造 | イギリス・アメリカをはじめとする英語圏の作品、英語の構造 |
| 求められる能力 | 日本語の細やかな感性、古文書を読む忍耐力 | 高度な英語読解・会話力、国際的な視野 |
| 主な進路 | 国語教員、出版、地方公務員、一般企業 | 英語教員、グローバル企業、旅行、翻訳など |
4. 自分に合った進路の選び方
どちらが自分にフィットするか見極めるヒントです。
「日本文学科」をおすすめしたい人
- 日本の歴史や伝統文化、和歌や歌舞伎などの芸術が好き。
- 小説の細部にある「言葉のニュアンス」や、日本ならではの感性をとことん深掘りしたい。
- 国語の教員になりたい、あるいは日本の文化を継承・発信する仕事に関わりたい。
「英文学科」をおすすめしたい人
- 英語の学習そのものが好きで、語学力を実践的に高めたい。
- 海外の文化や歴史、ジェンダーや人種といった現代の国際的な課題に関心がある。
- 洋楽や海外映画、海外小説が好きで、その制作背景にある思想を深く理解したい。
まとめ
- 日本文学科は、日本語という「母国語の宇宙」を深く突き詰める知の探求。
- 英文学科は、英語という「グローバルな共通言語」を通じて、世界の多様な文化や社会とつながる知的冒険。
それぞれに異なる面白さと奥深さがあります。自分が「日本語の持つ響きや感性に深く没頭したい」のか、「英語の翼を広げて世界を観察したい」のか、自分の関心のベクトルを見つめ直して選択してみてください!

